写真を無断利用された時の対処法
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)のキュレーションサイト問題を皮切りに、ウェブ上での他者の著作や作品の盗用に対する大きな関心が寄せられるようになりましたね。
また、それ以前からも「他者の写真の無断利用(盗用)」について度々話題となってきていました。こういった流れを見ますと、この記事をご覧いただいている方にとっても決して完全な他人事という訳ではないような気がします。
という訳で、今回は「もし自分の写真が無断利用されたらどう対処すれば良いのか?」とをテーマに、順を追ってご紹介しようと思います。
1.まずは冷静になりましょう
自分の写真が誰かに無断利用されていることを知った時、怒りや悲しみが湧いてくるのは当たり前の感情です。自分が撮った大事な写真を勝手に使われるというのは、本当に大きなことですよね。
ただ、その気持ちのまま後先を考えずにSNSなどに投稿したりしてしまうと、無断利用している人にとって「逃げる(差し替えたり、削除したりなど)」ことができる機会を与えてしまうことに繋がりかねません。「いいね!」や「シェア」で拡散されていくと、無断利用している人が目にする可能性がどんどん高まっていくためです。
また、これは最悪の事例ですが、無断利用した人がその写真を差し替えや削除を行った上で、「無断利用していないのに無断利用されたと嘘を付かれた」などの話を広げ、逆に自分の方が悪者にされてしまったというケースもありました。
まずは一旦落ち着いて、冷静に対処する気持ちを持つようにしましょう。
2.本当に無断利用されたものなのかどうか検証する
まず最初に、「著作権法上の「無断利用」に該当するかどうかを検証します。
写真の場合は少ないですが、それでも稀に著作権が発生しない写真や、正当な「引用」の範囲内で利用しているものなど、「無断利用」に該当しない場合があるためです。
もし相手が正当な利用をしていた場合にSNSなどで拡散したりすると、最悪、名誉毀損などで訴えられてしまうなどといった可能性があるので注意しましょう。
3.無断利用の証拠を確保する
無断利用している人に対してその無断利用を指摘した際に、写真の差し替えや削除などで逃げられてしまわないよう、まずは証拠を確保しましょう。
自分のサイトの画像と相手のサイトの画像の両方を、、ウェブ魚拓やウェブアーカイブで押さえると良いと思います。証拠を確保した日時を記録することがポイントです。
4.無断利用している相手(とその連絡先)を確認する
無断利用している人がネット上でも本名を使用している場合は連絡手段の問題は出ないのですが、全員が本名でしている訳ではなく、ペンネーム(ビジネスネーム)やSNSネームを使っている場合も多いですよね。
また、そもそも連絡先を表示していない場合もあり、そういったケースではまず、連絡先を把握するところから始めなければなりません。
この場合は、Whoisの情報を利用して管理者情報を取得したり、プロバイダを通じた開示請求(プロバイダ責任制限法で定められています。)を行い、連絡先を入手します。
5.無断利用している相手に連絡する
いよいよ「4.」で得た情報を元に、相手方に連絡を取ります。
「自分の写真を無断利用している事実」と「それに対して自分がどうして欲しいか?」を明確に伝えるようにしましょう。
この時、冷静に伝えることが大事です。また、証拠を明確に提示することもポイントです。
冷静に伝えさえすれば、何らかの対応を行うケースが多いです。
6.無断利用している相手に連絡しても対応してもらえなかった場合は法的な手段を取る
「5.」で無断利用している相手に対してどれだけ冷静に・論理的に連絡をしても、対応してもらえなかったり、自分のして欲しいことと異なる対応をされたり、また最悪の場合、逆上されたりするケースが残念ながらあります。
その場合は、裁判などの法的な手段を取ることになります。
ここでもこれまでと同じく、対応が不快であったからといって感情的にSNSに投稿したりなどすると、解決が遠のくどころか、逆効果となることもあります(最悪の場合、名誉毀損などで相手に付け込まれるケースもあります)。
あくまでも最後まで冷静に対応するようにしましょう。
※専門家を活用する場合は…
著作権に関する法律に詳しい専門家は、弁護士や行政書士が挙げられます。
弁護士は裁判や相手との交渉などを代理で行ってもらえますし、行政書士は相手に送る文章(メールなど)や書類の作成を代行してもらえます。
ただ、一口に弁護士や行政書士といっても、それぞれに得意分野があります(医師が「内科医」「外科医」「眼科医」…などと得意分野があるのと同様です。)ので、著作権に詳しい専門家を見つけることがポイントとなると思います。